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写真ジャンル論
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写真ジャンル論: ジャンルという”地図”を、写真に
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写真ジャンル論: ジャンルという”地図”を、写真に
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ロックやジャズのように──ジャンルが写真文化を駆動させる。“見る文化”を拓き、写真をもっと楽しむための1冊。
「最近どんな映画観た?」「どんな音楽聴いてる?」──日常の会話でよく交わされるやり取りです。

しかし「好きな写真集は?」「最近どんな写真展を見た?」という会話を耳にすることは、ほとんどありません。

なぜ写真だけが“語られない”のでしょうか。

本書は、その問いを出発点にしています。音楽や映画にはジャンルがあり、批評があり、ファン同士の共有文化があります。けれど写真は、撮る文化は広がっても「見る文化」が育っていません。SNSで流れてくる無数の写真は、誰が撮ったかも知られず、ただ通り過ぎてしまう。そこに「語られにくさ」の根があるのです。

その背景には二つの大きな構造的要因があります。

第一に、写真には音楽や映画のような「ジャンルの地図」が存在してこなかったこと。

ロック、ジャズ、クラシック──映画ならアクション、ホラー、ラブロマンスといった分類があるのに対し、写真は歴史的には「ドキュメンタリー」「ファッション」「広告」といった機能的な枠組みで語られることが多く、「表現のスタイル」としてジャンルが定着してきませんでした。

第二に、写真は私的な記録(家族写真や旅行写真)と商業的な撮影(広告や雑誌)の間を漂いやすく、芸術として「鑑賞される写真」の位置づけが曖昧だったこと。結果として、写真は文化として“語られにくい”という宿命を背負ってきました。

そこで著者は、音楽ジャンルや美術史に学びながら、写真に新たな分類体系を与えました。

それが EPT(Expressive Photography Taxonomy/表現写真分類) です。

本書では写真を 7つのジャンル に整理し、それぞれに明確な思想と系譜を与えます。

Neo-Form(ネオフォーム/構造美):幾何学性、形式美、構造の厳格さを重視する表現。ルイス・ボルツやベッヒャー夫妻に代表される「ニュー・トポグラフィクス」以降の流れを踏まえつつ、現代のミニマリズム写真に受け継がれています。

Gritography(グリトグラフィ/都市の衝動):都市のざらつきや衝動を捉えるジャンル。ウィリアム・クラインや森山大道の粗いグレイン、アンダース・ペーテルセンの人間臭いスナップに見られる「生の感触」の系譜を整理しています。

Luminism(ルミニズム/光の詩学):光と大気をすくい取る静謐な表現。リチャード・ミゼラックやリチャード・ベンソンを経て、リチャード・ミゼラック、川内倫子や山本昌男の「光をめぐる私的な詩情」へとつながります。ニューカラー、さらにはポスト・ニューカラーを継承する重要な流れです。

Chromavision(クロマヴィジョン/色彩の衝動):色彩の強烈さ、演出性を前面に押し出す表現。ウィリアム・エグルストンが切り拓いた「ニューカラー」の精神を起点とし、マイルズ・オルドリッジ、蜷川実花の極彩表現に受け継がれています。

Synthesia(シンセシア/テクノロジーと未来視覚):AIや3DCGなど、デジタル以降の新技術を積極的に取り入れた表現。トーマス・ルフやトレヴァー・パグレンが示す「制度批評」と、レフィク・アナドルのデータ・ビジュアライゼーションが、この領域の核心を形づくります。

Mythography(ミソグラフィ/物語と象徴):写真を「舞台」として物語や寓話を演じる表現。シンディ・シャーマンのセルフポートレート、グレゴリー・クルードソンの映画的演出が象徴的です。

Distortivism(ディストーティヴィズム/破壊と異化):写真を破壊し、異化するジャンル。ジョン・ハートフィールドのフォトモンタージュから、横田大輔やヴォルフガング・ティルマンスの素材実験、さらにはグリッチ・アートまでを包括する「写真の解体」の系譜です。

本書のもう一つの特徴は、歴史的系譜との接続です。

たとえば ニューカラー(New Color Photography) は1970年代にウィリアム・エグルストンによって写真史に刻まれましたが、本書ではそれを「Chromavision」と「Luminism」という二つの流れに受け継ぎ直しています。

また、ピクトリアリズムからストレートフォト、バウハウス、ニュー・トポグラフィクス、コンセプチュアル写真に至るまで、20世紀以降の主要な動向を縦糸に織り込みながら、新たな横糸として7ジャンルを提示しています。

巻末では、ジャンルごとに代表的写真家を一覧形式で整理。

Cindy Sherman(シンディ・シャーマン)、Gregory Crewdson(グレゴリー・クルードソン)、杉本博司(Sugimoto Hiroshi)など国際的に評価される写真家を網羅し、さらに新世代の表現者たちまでを含め、系譜の全体像をひと目で辿れるようになっています。

「写真ってどう見たらいいの?」と迷ったことがある人に。

「もっと深く写真を楽しみたい」と感じている人に。

本書は、写真を語り合うための新しい道具であり、同時に“写真を聴く/読む”ように楽しむための文化的地図帳です。

◾️目次
Prologue|なぜ「ジャンル」で語るのか?
第1章|写真にジャンルが育たない理由
第2章|ジャンルはどう生まれるのか?
第3章|ジャンルという概念を再構築する
第4章|写真ジャンル地図の構築
第5章|Neo-Form──構造美と静謐のフォーマット
第6章|Gritography──衝動とざらつきの写真美学
第7章|Luminism──光と記憶の詩学
第8章|Chromavision──色彩の衝動とポップの系譜
第9章|Synthesia──未来と錯綜する写真美学
第10章|Mythography──物語と寓話の静止画演出
第11章|Distortivism──写真の枠を壊す表現たち
第12章|ジャンル批評の技法と自己批評
第13章|ジャンル以後の地図を描く
<巻末──ジャンル別代表作家>

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