この物語は大正から昭和にかけての日本を舞台に、心肺と腎臓に持病を抱えた少年・辰雄とその家族の悲喜こもごもを描いた物語です。史郎は父親になった後、無声映画のピアニストとなり活躍。それと並行に地元で人気の食堂を経営する小平夫人と小池夫人に、栄養管理人の知識と料理の腕を生かして稲荷寿司やコロッケの作り方を教えます。
辰雄は史郎の双子の兄の娘である絹重と恋に落ち婚約しますが、戦争が始まると辰雄は召集されてしまいます。トミや修や勉もツタキもカヨも戦地に行き、絹重と史郎だけが残されます。戦争が激化し、食糧難や空襲に苦しみながらも絹重は史郎の病気を看病します。しかし、辰雄の死亡通知が届き絹重は絶望します。
そして終戦の日には、小河原夫妻や修や絹重も空襲で亡くなり、史郎は一人ぼっちになってしまいます。この頃、結核にかかって悪化をしていた史郎は自分の命も長くないと悟り、早く家族に会いたいと願いながら終戦の放送と共に息を引き取ります。そして史郎は、辰雄と絹重と黄泉の白い花咲くトンネルで再会し、三人は手を繋いで黄泉のトンネルを、まだ見ぬ未来の世界へ通じる出口へと歩いていきます。
この物語は、戦争と病気によって引き裂かれた家族の愛と絆を描いた感動作です。辰雄と絹重の純愛や、史郎の料理の才能やピアニストとしての夢など、登場人物の魅力や人生の輝きも見逃せません。辰雄たちの運命に涙し、彼らの幸せを願いながら、この物語に引き込まれることを願います。輝ける登場人物と、彼らの生きざまに感動をし、魅力を感じていただけましたら幸いです。是非一度お手にとってご覧ください。