「三国遺事」は、新羅国、高句麗国、百済国に関わる古記録、伝承等を収集、編集し、そこに就いての遺聞逸事を記した書物です。高麗王朝期に、一然(いちねん。普覚国師。1206年~1289年)に依り撰述され、一部分はその弟子であった無極が補筆したとされています。全5巻より成る一然禅師晩年の作です。ただ、その内容には先行する「三国史記」(1145年)を大いに参照した形跡があり、決してオリジナル性が高いとも言えません。正史である「三国史記」を日本に於ける「日本書紀」、後発の「三国遺事」を「古事記」的な立場に位置付ける見解もあります。本書では、この様にして成立した「三国遺事」に記された、自然災害、人為的災害関係記事の内容、その編纂意図や位置付けをも、言語文化、「災害対処の文化論」の視角より探ってみました。その際には、上で確認をした、編纂物としての本書の特徴、特質、仏教との関係性に関して十分に留意をしました。各記事の内容分析に際しては、地盤に関わる災害、気象災害、天文現象、その他に類別し、当該記事に記載された現象自体に対する追究、それが記事として登載された意義に関しても検証作業を実施しています。仏説と災害との関係性とは?嘘のような本当の話の中に秘められた災害事象とは何か?ウイルスも鬼の仕業?仏教の正当性を主張する為に利用された災害の数々!こんな疑問を分かりやすく解説!!中学生以上向き。地域学習、講演資料、防災・災害学習等にも幅広くご利用いただけます。資料集としてもご活用いただけます。